合気道開祖の教え

6)神示に現れた神々

「この御名の中に合気の技ことごとく含まれ」と神示で言われた神及び神示に出てきた合気道に関係が深い神について、ここで解説します。

● 天の村雲九鬼さむはら竜王(天之叢雲九鬼さむはら竜王)
一言で言えば、「気(エネルギー)の根源神」です。気によって、「いかなる業(ごう)をも、一瞬にして浄めてしまう神様」です。
植芝家の守護神で、合気道の守護神でもあります。天地の祖神(「主(ス)」の神、「ゝ(ポチ)」、皇大神即ち大天主太神、速武産の大神、 時として天之御中主神)又はその働きの現れです。
天地創造の力(エネルギー)の神です。
「また天叢雲九鬼(あめのむらくもくき)さむはら竜王大神(亦の名を速武産大神)が降臨され『我は植芝の血脈にくい入りくい込んでいるぞ』と言われたのです。 そして合気道の守護神であると言われたのです」
「この意義をよく考え思うべし、この守護神によりて、汝に武産の使命を気結びされたるなり」
「天の叢雲とは、宇宙の気、おのころ島の気、森羅万象の気を、つらぬいていぶくことをいう」
「九鬼とは、おのころ島に発生したすべての物の原子。即ち造物主の使命達成のために現れた九星(一白、二黒、三碧、四緑、五黄、六白、七赤、八白、九紫)の気である。 いざなぎの命、いざなみの命の島生み神生みの気も、すべてこの九鬼よりはじまる」
「さむはらとは、宇宙森羅万象の気をととのえて、世のゆがみを正道にもどすことをいう。 日月星辰も、人体もことごとく気と気の交流の結果生まれたものであるから、世界の気、宇宙の気を調整しなければ、やがては邪気を発して、風害、 水害、火災、戦争、病気、飢餓がおこる。 このすべての邪気を、天授の真理によってみそぎして、地上天国の極楽浄土を建設することを、さむはらという」 ちなみに、開祖は、『武産合気』と書いて『さむはら』と読ませたそうです。
『竜王』はこの神すべてにかかる名ですが、風水では竜は『気』を指し、龍神が雨乞いの神であることから、この神を「気(エネルギー)の根源神」として間違いないようです。
『さむはら』は聞き慣れない神名ですが、福岡県前原市に聖武天皇の御世725年にインドから渡来した高僧、清賀上人(せいがしょうにん)が 開創したと伝えられる雷山(らいざん)千如寺があり、身代わりの御守り『サムハラ』を授けています。
御利益は、十転化の功徳(悪を転じて善と化す。邪を転じて正と化す。愚を転じて賢と化す。貧を転じて富と化す。賤を転じて貴と化す。乱を転じて治と化す。危を転じて安と化す。 禍を転じて福と化す。迷を転じて悟と化す。痴を転じて仏と化す)です。
「宇宙森羅万象の気をととのえて、世のゆがみを正道にもどす」と開祖が言われたことと符合します。
『サムハラ』は、元はサンスクリット語の『シャンバラ(幸福を維持・用意・収集・養育するもの、静かで穏やかなこと、平和などの多くの意)』 ではなかったかという説もあります。
森信三先生は、「このサ・ム・ハ・ラは成熟を意味する梵語(サンスクリット語)のようです」と説明しています。
大阪市にサムハラ神社があります。ご祭神はサムハラ大神(天御中主大神、高皇産霊大神、神皇産霊大神の三神の総称)です。
この三神は造化三神と呼ばれ、宇宙創造の根源であり生成力を表わしているので、開祖の説明とも一致します。
加藤清正が、刀に『サムハラ』と彫りつけて朝鮮半島に出兵し、九死に一生を得たそうですが、日露戦争の頃にも『サムハラ』の護符は弾除けのご利益があるとして流行ったそうです。
開祖も『サムハラ』を身に着けていたお蔭で、日露戦争従軍時、奇跡的に何度も危機を逃れたそうです(「飛んでくる敵の弾丸がよう見えるようになった」と述懐)。
したがって、開祖には取り立てて説明の要らない身近な神様であったと思います。
● 伊豆能売
一言で言えば、「体主霊従(われよし、強い者勝ち)の世を霊主体従(ひのもと、霊の本。陰陽が調和した正勝、吾勝)の世に建て替える神」です。
「汝は伊豆能売となって、この世を禊がねばならぬ」
伊豆能売は、『古事記』にのみ登場する神で、『霊界物語』には、「伊豆能売の身魂は、厳(いず)、瑞(みず)の身魂を相調和した完全無欠のものである」とあります。
「経魂(けいこん、たてのみたま)たる荒、和、二魂の主宰する神魂を厳の御魂といい、緯魂(いこん、よこのみたま)たる奇、 幸二魂の主宰する神魂を瑞の御魂といい、厳瑞合一したる至霊魂を伊豆能売の御魂というのです」
伊豆能売の御魂は、火(霊、ひ。厳、いず)と水(身。瑞、みず)を統一して、自由自在の働きをする至粋至純の神霊の活用とされています。
伊都能売を速秋津彦神(はやあきつひこのかみ)、速秋津姫神(はやあきつひめのかみ)ともいい、また、木花佐久夜毘売命でもあるとされています。
● 猿田彦大神(猿田毘古命)
一言で言えば、「邪悪を退け、善に導く神」です。
天孫邇邇芸命が、天照大神、高木神(高御産巣日)の神勅を奉じて、豊葦原瑞穂中国(とよあしはらのなかつくに)の主として降臨された時に、天の八衢(あめのやちまた)に出迎え、 筑紫の日向の高千穂のくしふるの峰に天孫を導かれた国津神で、忠勇無比の神様です。
開祖が、「案内者」「神の道をひらく役目」と述べられている役目を担った神様です。