シーワールドでは、巨大なクジラが何と7メートルもジャンプしている。
どうすれば、そんなことができるようになるのだろうか?
もちろん、こうした見事なジャンプの陰には、調教師たちの地道な訓練がある。
彼らが重点を置くのは、反復させたい動作を奨励すること、
つまり、この場合はクジラにロープを飛び越えさせることである。
そこで、あらゆる面から環境を整えていき、「失敗できない」ように仕向ける。
まず水面下にロープをはって、クジラが期待どおりの動きをせざるを得ないようにする。
クジラがロープを越えたら、それを奨励する。つまり、魚をやり、撫でてやり、遊んでやり、
これが一番大事なのだが、クジラの行動を強化するのである。
では、クジラがロープの下をくぐってしまったらどうなるだろうか?
答えは、「何も起こらない」。電気ショックを与えるわけではないし、表立って叱り飛ばしもしない。
赤点もつけない。
つまり、マイナス方向の行動は見逃されるのである。
これこそ、華々しい結果を生み出す訓練のポイントである。そして、クジラがロープの下より上を跳ぶ回数が多くなるにつれ、調教師たちはロープを少しずつ上げていく。
急に高くしたりすると、クジラが肉体的にも感情的にも飢えてしまうからである。
このエピソードは、私たちに二つのことを教えてくれている。
一つは、「ほめすぎるくらいにほめろ」ということだ。
たとえ些細なことでも見逃さず、いいことは常にほめてあげよう。
もう一つが、「批判は控えめにせよ」ということだ。失敗した場合は、本人がいちばんよくわかっている。
何より必要なのは助けである。
批判を控え、罰も軽めにとどめれば、人はたいていその件を忘れない。
同じ間違いはしないようになる。
出典不明